マイクロ法人と個人事業主の二刀流【フリーランス、エンジニアの節税】
税理士・公認会計士の鈴木泰浩です。
弊事務所では、スモールビジネス、起業支援、スタートアップの支援に力を入れております。
フリーランス、エンジニアといった個人事業主の方で、ビジネスが拡大すると法人化(法人成り)を検討される方も多いと思います。
実際に、個人事業主の方から法人化の相談を受けることがよくあります。
個人事業主の継続、法人成りという選択肢以外に、個人事業主と法人を併用するパターンもあります。
これは複数の事業を行っていることが前提ですが、多くの場合、税金・社会保険の負担が軽くなることが多いです。
今回はマイクロ法人と個人事業主を併用した節税についてお伝えします。
目次
複数事業を行っているフリーランス、エンジニアの方々
今の時代、複数事業を同時並行的に運営することはよくあります。
(事例1)本業はエンジニアとして企業からの受託開発を行う一方で、副業としてネットショップの運営を行う。
(事例2)本業は講師業を行う一方で、副業として動画編集業務を行う。
複数の収入源を持つことは、これから益々増えていくと想定されます。
このように複数の事業を持った際に、どのような組織形態が望ましいのかは個別に検討していく必要があります。
一般的には、個人事業主の継続か法人成りの二択が考えられますが、もう一つの選択肢として個人事業主と法人(マイクロ法人)を併用するパターンもあります。
マイクロ法人と個人事業主の併用 二刀流のメリット
税金と社会保険料の両方の負担を考慮する必要あり
個人事業主、法人であろうと、税金及び社会保険料の負担をどれだけ発生するのかを意識することが重要です。
どうしても税金の負担に目が行きがちですが、社会保険料の負担をいかに軽くするかという観点も手元にキャッシュを残すという観点では重要になります。
マイクロ法人は社会保険料の負担を抑えることが可能
法人を設立して役員報酬を支給した場合、役員報酬の金額によって社会保険料が決まることになります。
社会保険料も税金同様に、役員報酬が高くなればなるほど負担が重くなります。
そこで、複数事業のうち利益(所得)が少ない事業を法人化(マイクロ法人を設立)して、役員報酬を低く設定すれば社会保険料を安く抑えることができます。
マイクロ法人と個人事業主の両方で節税できる
税務面のメリットとしては、マイクロ法人と個人事業主の両面で節税を享受できる点があげられます。
例えば、個人事業主としての節税方法、青色申告特別控除や小規模企業共済を継続して使用することができます。
これは、法人成りで法人化の一つに絞ると個人事業主として節税は享受できなくなるので、マイクロ法人と個人事業主の併用のメリットいえるでしょう。
注意点① 複数事業が明確に違うか
上記の通り、法人と個人事業主の併用のメリットはありますが、注意点もあります。
まず、前提として、複数事業が明確に違う必要があります。
同じ事業で、法人と個人事業主を平行して行うことは、所得を意図的に分散しているとみなされるリスクがあります。
マイクロ法人では輸入販売を行う一方で、個人事業主としては企業向けのコンサルティング業務を行うといった様に、明確に業務を分ける必要があります。
注意点② 個人事業主の事業所得に該当するか
個人事業主のビジネスが事業所得に該当するかも注意が必要です。
事業所得に該当するには、
・継続性・反復性があるか
・営利性・有償性があるか
・相当な時間や労力を費やしているか
・職業として認知されているか
という視点が必要になります。
単純に税務署に開業届を提出しただけでは、事業所得に該当しないので注意が必要です。
事業所得に該当すると
・青色申告特別控除
・純損失の繰り越し
・30万円未満の少額減価償却資産の特例
が適用されますが、雑所得に該当すると上記のメリットが生かせません。
注意点③ マイクロ法人としてコストが発生
法人を新たに設立することで発生するコストも認識する必要があります。
法人に所得がなくても、法人住民税の均等割として年間最低7万円を負担する必要があります。
また、法人税の申告を自ら行うことは手間が掛かるので税理士に依頼するのが一般的です。
税理士報酬も法人運営では外せないコストになります。
マイクロ法人で税理士をお探しの方へ
マイクロ法人を設立すると決めた場合、税理士に申告業務を依頼することになるかと思います。
弊事務所では、法人設立の段階からご相談に乗っております。
また、弊事務所では、年一決算で税理士に依頼する場合、継続的な顧問契約で税理士に依頼する場合といずれのケースにも対応しております。
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