個人事業主 マイホーム(持ち家)で開業

 税理士・公認会計士の鈴木泰浩です。

 個人事業主の方の開業方法として、自宅の一部を事務所として開業される方もいると思います。

 自宅が賃貸の場合、家賃を使用割合に応じて按分(家事按分)していけばよいのですが、マイホーム(持ち家)の場合の経費関係はどのようになるのでしょうか。

 今回は、個人事業主がマイホーム(持ち家)の一部を事務所として開業した場合の経費について解説します。

個人事業主 マイホーム(持ち家)の経費

 個人事業主が、マイホーム(持ち家)の一部を事務所として使用する場合、経費の対象となるのは、減価償却費(建物部分)、住宅ローンの利息、固定資産税、火災保険料、地震保険料、管理費等になります。

 上記に関して経費にする割合(家事按分)ですが、賃貸の場合と同様に事業の使用割合に応じて経費にする必要があります。

 マイホーム(持ち家)であれば、事業で使用しているスペース、プライベートで使用しているスペース、共用のスペースを把握して、面積比に応じて経費にする割合を決めるのが一般的です。(共用のスペースは、事業とプライベートの使用割合で按分します。)

個人事業主 マイホーム(持ち家)の減価償却費

 減価償却費をするに際して、まずはマイホーム(持ち家)を業務で使用する段階で、未償却残高を把握します。未償却残高は以下の算式で算出されます。

 建物の取得価額-建物の取得価額×0.9×旧定額法の償却率×経過年数×1.5

※非事業用資産の減価償却は旧定額法と呼ばれる、建物の取得価額に0.9を乗じた形で減価償却が行われることに留意する必要があります。

※経過年数に関して、6ヶ月以上の端数は1年として、6ヶ月未満は切り捨てます。

※経過年数に1.5倍した結果、1年未満の端数がある場合は、1年未満の端数を切り捨てます。

 

 減価償却費については、建物の取得価額×定額法の償却率で計算されます。

 平成10年3月31日以前に取得した建物は旧定額法または旧定率法が、平成10年4月1日~平成19年3月31日に取得した建物は旧定額法が、平成19年4月1日以降に取得した建物は定額法が適用されます。

個人事業主 住宅ローン控除の注意点

 マイホーム(持ち家)を事業として使用する前に、住宅ローン控除を適用している場合には、事業で使用する割合に注意が必要です。

 マイホーム(持ち家)の事業としての使用割合が50%以上使用するとなると、住宅ローン控除が適用できなくなります。

 なお、事業としての使用割合が10%以下であれば、住宅ローンの控除は全額適用となります。

 住宅ローン控除を適用している場合には、全体として負担する税金額をシミュレーションした上で、事業割合を決めた方がよいでしょう。

まとめ

 今回は個人事業主がマイホーム(持ち家)で開業する場合について解説を行いました。

 個人事業主がマイホーム(持ち家)で開業する場合は、事業としての使用割合、減価償却の計算、住宅ローン控除の適用について留意が必要です。

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