法人の青色申告の取り消し【取り消し理由、再申請するには】
税理士・公認会計士の鈴木泰浩です。
法人の場合、会社設立時に「青色申告の承認申請書」を提出されているケースが多いと思われます。
「青色申告の承認申請書」を提出されるのは、青色申告にメリットがあるからです。
しかしながら、青色申告が取り消される場合もあります。
今回は、法人においてどのような場合に青色申告が取り消されるかを解説します。
目次
青色申告のメリット 法人の場合
法人が「青色申告」を選択するのは「青色申告」にメリットがあるからです。
法人での「青色申告」としては、以下の4点があげられます。(資本金1億円以下の中小企業の場合を想定しています。)
欠損金の繰越控除
決算で赤字となった場合、赤字金額が欠損金となります。
欠損金は翌年度以降、黒字となった場合、黒字部分と相殺することができます。
なお、繰越欠損金は最大10年繰り越すことができます。
欠損金の繰戻し還付
決算が黒字で法人税を支払った翌年に赤字となった場合には、赤字部分を前期の黒字部分と相殺して、法人税を還付することができます。
繰戻しできるのは、前年度の1年間のみになります。
少額減価償却資産の即時償却
30万円未満の減価償却資産に関しては、即時償却することが認められています。
固定資産の特別償却又は税額控除
一定の条件を満たした場合、一部の固定資産に関して、通常の減価償却に加えて、特別償却と税額控除の上乗せ措置があります。
青色申告が取り消される場合 法人の場合
法人で青色申告を取り消される場合は以下の通りです。
帳簿書類を提示しない場合
税務調査において、帳簿書類の提出を求めたのに対して帳簿書類を正当な理由なく提示しなかった場合は、青色申告取消の事由となります。
税務署長の指示に従わない場合
青色申告者は帳簿に記録を行い、一定期間、帳簿を保管する義務がありますが、この義務を怠った場合は、青色申告の取消事由になります。
隠ぺい、仮装を行った場合
隠ぺいや仮装によって所得を不当に少なくしている場合には、青色申告の取消事由となります。
隠ぺいや仮装での所得が全体の所得の50%に相当するような場合や、帳簿書類への記載に不足があって推計しないと所得が分からない場合などが、青色申告の取消事由になります。
無申告又は期限後申告の場合
2期連続して期限内に申告を行わない場合は、青色申告の取消事由になります。
相当な事情がある場合
二重帳簿を作成する、過少申告をし続ける、帳簿書類の記録の状況、申告書の提出状況から相当な事情がある場合は、青色申告の取消事由になります。
以上が、法人における青色申告が取消される事由です。
青色申告の再申請 法人の場合
青色申告が取り消された場合、「青色申告の承認の取消通知書」が届きます。青色申告がいったん取り消されると、1年間は再申請ができません。1年後に再度、青色申告の承認申請書に必要事項を記載して税務署に提出することになります。
まとめ
今回は、法人において青色申告が取り消される理由について解説を行いました。
青色申告は、メリットが大きいため可能な限り青色申告を継続することが望ましいです。
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